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建物の建築確認申請と現実の仕様が異なる事例や、検査済証が存在しない物件。昭和期に建てられた家屋では珍しくないものの、現代の不動産取引においては相応の注意を要する。行政による地域指定の変更等により、建築当時と現在の法規制が食い違うケースも散見される。結論として売却や利活用自体は可能であるが、一般的な物件と比較して考慮すべきリスクは確実に高まる。リスクを相殺するための価格調整や、活用可能な状態へ整えるための追加費用が必要となる局面は少なくない。

【■ 建築確認申請・検査済証を巡る現状と課題 ■】

 

昭和時代に建築された建物では、建築確認申請の控えが残っていないケースや、完了検査を経て交付される検査済証が存在しない事例が数多く存在します。当時は現在ほどコンプライアンスや完了検査の徹底が求められていなかった背景もあり、図面と現況が微妙に異なっていることも珍しくありません。

しかし、現代の不動産市場において、これらの書類の欠落や現況との相違は大きなハードルとなります。特に住宅ローンの審査において、金融機関は担保評価の前提として違法建築でないか、法適合性が保たれているかを厳格に確認します。書類で適合性を証明できない場合、買主がローンを組めず、検討対象から外れてしまう事態が生じます。

【■ 行政の法改正や指定変更による影響 ■】

 

現況との違いを生じさせる要因は、所有者による増改築だけではありません。行政側の都市計画変更に伴い、建築当時の指定と現在の規制が変化しているケースが存在します。

例えば、建築当時は指定がなかったエリアが、後に「準防火地域」や「法22条区域」などに指定されるケースです。また、建蔽率(建ぺい率)や容積率の制限が強化され、現在の基準では既存不適格住宅(現行法には適合しないが、建築当時は適法だった建物)となる事例もあります。このような物件を建て替えたり大幅なリフォームを施したりする場合、現行法に適合させるための追加工事費用が発生し、計画の阻害要因となることがあります。

【■ リスクの把握と売却・活用の現実的な解決策 ■】

このような課題を抱える物件であっても、売却や活用をあきらめる必要はありません。しかるべき手順を踏み「リスクを適切に補填・管理する」ことで、取引を成立させることは十分に可能です。

具体的には以下のような対処法や調整が行われます。

  • 現況優先での価格設定:買主側が将来的に負担するリスク(再建築時の制約や追加工事費用)を想定し、相場よりも抑えた売却価格で調整を図る。

  • 買主層の絞り込み:住宅ローン利用者にこだわらず、現金購入が可能な投資家や事業者をターゲットに据える。

  • 建築基準法第12条第5項の報告等の活用:専門家(一級建築士等)による現場調査を実施し、現況の安全性を証明する書類を作成する。

  • 用途変更やリノベーションの検討:活用を目指す場合、現行法に合致させるための改修計画を事前に立て、必要費用を算出しておく。

通常物件と比べて確認事項や専門知識が必要とされる場面が多くなりますが、構造上の安全性を把握し、手続きを正しく踏むことで、物件が持つ本来の価値を引き出す道筋は見えてきます。空き家や相続物件に関する不安をお持ちであれば、個別の状況に応じた適切なアプローチを選択していくことが重要です。

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